焦れきゅんプロポーズ~エリート同期との社内同棲事情~
いつもより遅めのお昼休憩に入って、私は再び勇希に電話をした。
だけど相変わらず勇希は応答しない。


繋がらない電話をバッグにしまって、ソワソワと落ち着かない気分のまま、ピークが過ぎて空いた社食に入った。
あまり食欲はなくて、一番安い蕎麦を選ぶ。


チラッと腕時計に目を遣ると、もう針は午後一時を示していた。
病院の午前診療だってそろそろ終わる時間だし、あれからずっと寝っ放しとは思えない。
途中で行き違ったにしても、私の着信履歴を見たら、メールでもなんでも何らかのレスポンスをしてくれるのが普通だと思うのに……。


もしかして、本当に重症で寝続けているとかじゃないよね……?
一度湧き上がった嫌な予感は、ここぞとばかりに増幅する。


メモの通りに病院に行ったはいいけど、動けずにどこかでくたばってるとか。
熱が上がって、あのベッドに眠ったまま生死の境を彷徨ってるとか。
普段なら絶対に『ないない』とオチをつけられる妄想が、私の中で異様にリアルになっていく。


いや。でも、大人だし。
子供じゃないんだから、それは心配し過ぎだろう、と言い聞かせる。


それでも、どうにも悪い想像だけが膨らんでいく。
箸を握ったまま社食の貧相な蕎麦を見つめて、私の心は揺れ動く。


その時。
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