先生、恋ってなんですか?

「お前、いつもこんな時間まではたらいてんの?」

私の疑問はあっさり無視して先生はコーヒーを口に入れる。
いや、ここに至るいきさつは自分でだってわかってる。
例の席にオーダーを取りに行き、バッチリ先生と目が合い、よぉ、と話しかけられては、お久しぶりです、としか返せるはずもなく。
それを目の当たりにした先生のお連れ様が、やれ元カノか?知り合いか?とはやしたて。
そのすべてをガン無視してモロキュウと和風からあげと天孫降臨ロックと生中2つの注文を済ませた先生が、立ち去ろうとした私の背中に言ったのだ。

「仕事終わったら、そこのファミレス」

無視をすることは簡単だが、職場を知られている以上それは得策でないことを知っている。
振り返ってぎこちない笑顔を返すと、一つ頷かれた。
先生のお連れ様の興味津々な視線と常連さんたちからのニヤニヤな視線と、店長他スタッフの鋭い視線を痛いほどグサグサ浴びて残りの仕事を、こなしたのだ。
皆何も言ってこないから、それが余計に怖かった。

つまり、そういう経緯をもってここに至るのだけれど、問題はそこではなく。

「これでも早い方ですよ。夜出の時はこんなもんです。ところでなぜ私は先生に呼び出されたのでしょうか」

これである。


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