半分のキモチ
「あぁ、克巳も一緒なんだ」


三上が俺に気を使うように答えると裕介が思い出したように宮本の名前を口にした。


「裕介、宮本と知り合いだっけ?」

「知り合いって言うか、こないだのライブに克巳が連れて来たんだよ。愛子ちゃんと京子ちゃんのこと」

「克巳が……」

「いや、あれだな。克巳は愛子ちゃんラブだな。ライブ中なのにテンション上がって愛子のほっぺたにチューしたんだぜ。チュー」


裕介はゲラゲラ笑っている。


克巳が誰を誘おうが俺には関係ねー。
もちろん、その相手が宮本だとしても。


だけど、胸の奥がキリキリ痛む。
喉の奥がカラカラと渇く。


「……悪い、俺……やっぱ、帰るわ」


せっかく三上が誘ってくれたのに、今は何もする気が起きない。
それは俺が宮本を好きだと言うことなのだろうか。


「あっ、おう。気をつけてな」


三上の言葉に右手を上げ答えて、また駅へと足を向けた。

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