半分のキモチ
「違うよ。何で?」

「私、あの日……」


そう言って俯く彼女に見覚えがある。


「あっ、」


あの日、かっちゃんに紙袋を渡していた子だ。


「宮本、」


後ろからかっちゃんがふざけて私に抱き着いてくる。
これじゃ、私が言ったことに説得力がなくなってしまう。


「あれ、こないだの」

「あっ、はい」

「プレゼント、ありがとうね。で、どうしたの?宮本に用?」

「あっ、はい。あの……克巳先輩と……」

「あぁ、」とかっちゃんはニヤッと笑って「今、狙ってる子だから、邪魔しないでね」と言うとその子は真っ赤な顔をして来た廊下を走って行ってしまった。


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