俺様上司は溺愛体質!?
(えっ、うそっ、謝った……!)
「俺だって悪いと思えば普通に謝罪する」
「えっと、すみません……でも私の心読まないでもらえたら助かります……割と本気で」
「じゃあお面でもつけるしかないな」
「お面! いくらなんでも酷すぎません? 前が見辛いですよね?」
「そういう問題じゃないだろ」
なにも本気で腹を立てたわけではなかったが、怒り心頭という風に唇を尖らせるちとせの顔が面白かったのか、真屋時臣のこわばった表情が自然に緩む。
(優しい顔になった。今なら聞けるかな……?)
意を決して問いかけた。
「あの、さっきの電話、なにか難しい問題でもあったんですか?」
「いや……問題ない。お前には関係ない」
真屋時臣は持っていたスマホをそのままスーツの内ポケットに滑り込ませると、腕時計に目を落とす。
これ以上踏み込むなと言われた気がした。