俺様上司は溺愛体質!?
「真屋さんも潤も天才なのに、また天才が来るんだ……」
酔いで口が軽くなったのかもしれない。泣き言が口をついて出てしまった。
「萩原?」
異変を感じたらしい真屋がグラスをテーブルの上に置く。眼鏡の奥の瞳が細められた。
「あらら。ちーちゃん、なーにそんな泣きそうな顔してるの。ボクは天才なんかじゃないってー」
一方八杯目の大ジョッキを飲み終えた潤は、リラックスした様子でちとせの顔を覗き込む。
だが当のちとせはそんな言葉では慰められなかった。
「そんなことないよ……潤は伝説のファッションモンスターじゃん。真屋さんだってなんかわけわかんないくらい雲の上の人だし……私だけ圧倒的に凡人ですもん……」