小話置き場
だからそれが揺らぐと、私は途端に不安になる。
この関係がいつまで続くのか、いつかフラれるんじゃないか、とすごく怖くなる。
そういう自信のない自分が嫌で、さらに私以外の人間に近づいていく先輩を見てモヤモヤが重なって……と、私はここのところ参っていた。
先輩の関心のほとんどを、私に集中させるのは申し訳ない。
だけど彼を独り占めしたい。私だけのものにしたい。
……今まで私たちは、付き合うことをゴールにしていたけど。
とんでもない。これは長い長い道のりのスタートラインだったのだ。
*
「寒いですねー」
手袋した手を、息で温める。白い色のついた空気が、私の口からこぼれる。
「そうだね」
私は先輩と帰り道を歩きながら、ちらりと彼の顔を見上げた。
かっこいいなあ。
肌白いし綺麗だし、まつ毛長いし鼻高いし。こんなに完璧な横顔が存在して良いのだろうか。罪深すぎやしないだろうか。