小話置き場


「……なに?」


ちょっと眉を寄せて彼が私を見た。


私はそのまま視線を外さず、ガン見の理由を正直に答えた。


「かっこいいなあと思って」


もう何度似たようなやりとりをしたかわからない。


だけど先輩は、毎回照れてくれる。言ってる私はそろそろ真顔で言えるくらいのレベルに到達してるのに、彼は毎度私を調子に乗せてくれる。


そういうところも好きだ。そういうところが好きだ。


私に対してだけ、いつまでも冷静になれないところ。ずるいくらい可愛い。



「……明日も、一緒に帰れませんか」



今の私の頭は完全に恋する乙女のそれだ。


先輩が好きでたまらない。もっと一緒にいたい。


こんな感情はじめてだ。私が先輩を独占するのは悪いと思うけど、こればっかりは仕方ない。丸岡百合は今、絶賛デレ期なのだ。





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