小話置き場



一日目はお昼の誘いもなく、結局先輩とは会わなかった。だけど一日くらい全然平気だった。


二日目も会わなかった。まだ大丈夫。案外イケるもんだ。


三日目は遠くで先輩を見かけた。一言だけ声をかけたい気持ちに駆られてしまったけど、ぐっとこらえた。


四日目、誘われて一緒にお昼を食べた。お別れするときちょっと寂しくなった。


六日目の日曜日、夜に電話した。よくわかんないけどこれが切ないって感情かと思った。


七日目、会わなかった。一日中楽しいことだけ考えた。


八日目、なんか心が重い。息が苦しい。里菜に『顔が死んでる』と言われた。


九日目ーー………



「いい加減会いに行けば?」


駅で私の顔を見て開口一番、チョコちゃんが言い放った。


「日に日に暗くなってんじゃない。そんな生気のない顔見せられるこっちの身にもなりなさいよ。鬱陶しい」

「アハハ、チョコちゃん毒舌〜」

「………うう………」


確かにチョコちゃんの言う通りだ。


五日目あたりから、明らかに病み始めている。今にも敗北の沼へと転がり落ちそうだ。




< 19 / 81 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop