小話置き場
正直、あっちの方が先に我慢ならなくなるのではないかという期待があった。そんくらいには自信があった。
ていうか、そういう目的でこの作戦を実行したと言ってもいい。
彼ならきっと、私と会えなくて寂しいって思うはず……とか。
相変わらず愛情の確かめ方が不器用な中学生男子な私だが、許してほしい。たぶんこの性質はこれから先も変わらないだろう。私は永遠に面倒臭くこじらせた野郎共の味方だ。
まあそんなことはどうでもいいんだ。今重要なのは……。
「もしかして、飽きられたのかな……」
「ええ……それはナイでしょ」
「ほら、男の人は狙ってた女性が手に入ったら、一気に冷めるって言うじゃん」
私も今では先輩にベタ惚れだ。
彼の告白を断って、『友達になってください』とかトチ狂ったことを言っていた私ではない。
ずっと追い続けていた女がやっと手に入って、私に対する興味が前より薄れちゃったんじゃないだろうか。
「それも一般論として一理あるけど、汐見先輩は例外だと思うわよ」
チョコちゃんが呆れた顔してそう言ってくれたけど、私はすっかりいじけていて、頷けなかった。
先輩に飽きられたら、どうしよう。
今はまだ大丈夫かもしれない。でも、将来そんな日が来るかもしれない。