小話置き場


いつかに里菜が言ってたように、私は『私を好きな汐見先輩』しか知らないんだ。



『私を好きじゃない先輩』を目の前にしたとき、私はどうするんだろう。



考えて、とても怖くなった。嫌な想像だ。するだけ無駄なのに、考え始めたら止まらなくなって、さらに落ち込んだ。







次の日、十日目。


嫌のことがあったら寝て忘れろ主義の私だけど、今回のモヤモヤは寝ても晴れなかった。


汐見先輩が絡むと毎回こうだ。恋ってなんて面倒臭いんだろう。


とにもかくにも面倒臭い女代表の私は、結局寂しさに負けて先輩に会いに行くことにした。


昼休みはやっぱりお誘いが来なかったから、自分の教室でお弁当を食べた後、先輩の教室へ行った。



「……………」



二年三組のドアの前に立って、今更迷う。


だって一週間ぶりだし。『今日一緒に帰れませんか』って言ってみるだけなんだけどさ。ダメ元だダメ元。



……いや、嘘だ。



頼むから『いいよ』って言ってくれって思ってる。



私をいちばん好きな先輩なら、言ってくれるでしょって思ってる。真っ黒い私が、また出てきてる。


あ、どうしようかな。やめとこうかなやっぱ。


いやダメだ。いつもここで逃げるから私はダメなんだ。


根性見せろ丸岡百合。先輩を信じろ。余裕持つんだって決めただろ!




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