小話置き場


「……私が先輩に教わってる時は、もしかして実は困らせちゃったりしてたんでしょうか」

「困りはしないけど、大変だね」

「ええ……それ同じことじゃないですか」

「すぐ理解してくれないじゃん、君」


あはは。まあな。

自慢じゃないけど、私の頭には少なくとも2回以上は同じ説明が必要だ。要は頭の回転が遅い。


「すみません、馬鹿で」

「いいよ、教え甲斐あるし。それに君はすぐ理解はしないけど、僕の説明聞こうとはするでしょ。理解しないけど」


理解しないを二回言われた。これは遠回しに批難されているのかもしれない。ごめんなさいもっと勉強します。


「説明聞かないと、そもそも理解できませんから、私。聞いてもわかんないときもあるけど」

「大事なことだよ。今教えてる人たちは、聞こうともしないからさ」


おおう、マジか。二年生すげえな。


この汐見大先生が教えてくれてるのに……私だったら一言一句聞き逃さない勢いで耳を傾けるだろう。理解はできないけど。


ちょっと怒った顔をしている彼を見て、あ、と思う。


これ、本気で怒ってる顔じゃない。



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