小話置き場


「……ウソじゃないけど、本当でもないでしょ」


その言葉を聞いて、すうっと頭の奥が冷えた。


なんで誤魔化せると思ったんだろう。


この人、私の行動に関しては滅多に口を出してこないけど、私が私を偽ることに関しては、すごく厳しくなるんだ。


特に、彼が絡んだとき。私が勝手に彼に気を遣って、自分を偽ったとき。


本当に悔しそうな、悲しそうな顔をする。


それは、私がウソをついたことが原因なんじゃない。


私にウソを『つかせた』ことが、彼は嫌なんだ。



『僕が怒るからとか、悲しむからとか、そういう理由で君の考えが変わるのが嫌だ』



なんで誤魔化せると思ったんだろう。

なんで誤魔化そうと思ったんだろう。


私が嫌だったから。彼を束縛するような、余裕のない彼女になりたくなかったから。



それってぜんぶ、私の自己満足じゃないか?



気づいて、頭が真っ白になった。


「……………」


何も言えなくなった私に、先輩は「百合」と優しく声をかけた。




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