小話置き場


「僕に言いたいこと、あるんでしょ」

「…………」

「言いたくない?」

「…………」


少し迷って、こくんと頷いた。


先輩は小さくため息をついて、ふわりと私を抱きしめた。



「……さっきは君のことわかってきたって言ったけど、まだ全然わかってあげられてないね。ごめん」



先輩の手が、私の頭をぽんぽん撫でる。

私は苦しくなって、無言のまま彼の背中に手を回した。


ちがうよ。


先輩は、ちゃんと私のこと見てる。付き合う前と変わらず、私の表情を目で追ってくれる。


それに比べて、私はなんて浅はかなんだろう。自分が恥ずかしくなった。


私の愛情って、なんだかすごく独り善がりだ。


先輩のこと、なんにも考えてあげられてなかった。


ごめん先輩。


こんな彼女で、ほんとごめん。







十一日目。

まだカウントすべきか迷ったけど、私の心持ち的には先輩と会いたくなかったし、今日は十一日目だ。


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