ヴァイオレット
ふうっと息を吐くと、白くにごって消える。
今日も寒くて凍えそうだ。
私は大学を出て、最寄り駅に向かう。
腕時計を見ると、針がもう20時をさそうとしていた。
"ねえ見た昨日の!かっこよかったよね!"
"私好きなんだよねー!"
私の横を通りすぎていく女子たちは、キャピキャピしながら話している。
雅人さんが上京してもうすぐ3年が経とうとしている。
私はあのときの雅人さんと同じ年齢になっていた。
今日も寒いしはやく帰ろう。
本当は友達とご飯でも食べて帰りたかったけれど、まわりは恋愛に夢中でいつも彼氏と帰っていく。
私はというと、ひとりぼっちで寂しい日々を送っていた。
彼氏、か。
3年前のあの日を、私はずっと引きずっていた。
言えなかった"好き"は、私の心に小さな傷跡を残していた。