課長の瞳で凍死します 〜Long Version〜




 しまなみ海道近くでその大会は行われていた。

 受付にギリギリ間に合う。

「カップル限定ですー。
 実は親子でしたとか、兄弟でしたとか駄目ですよー」

 街コンも兼ねているらしく、受付の商工会議所の人が、大きな声で受付を待っている人たちに言って、どっと笑いが起こる。

 真湖たちのような、観光客の飛び入りも結構居た。

 そういう人たちには、釣り道具も貸してくれるようだった。
 あまり立派なものはないようだったが。

「はい。
 じゃあ、こちらにお名前を。

 カップルですかー?」
と受付のお兄さんのが言うと、

「はーい」
と二人で指でハートマークを作らされている。

「……あれは、やらなくてもいいんだよな?」
と雅喜が言う。

「強制じゃないみたいですよ。
 でも、確かに、我々はカップルには見えないですよね……」

 課長、沢田ではな、と思っていると、雅喜が、
「じゃあ、俺に真湖りんと呼べというのか、花田みたいに」
と言ってくる。

「そんな無茶な要求はしませんよ」
と言うと、雅喜は少し考え、

「じゃあ、真湖」
と言った。

 どきりとしてしまう。

 さすがにこんな綺麗な顔で、真正面から言われると……。

 しかし、そんなときめきは長くは続かなかった。


< 87 / 444 >

この作品をシェア

pagetop