課長の瞳で凍死します 〜Long Version〜
しまなみ海道近くでその大会は行われていた。
受付にギリギリ間に合う。
「カップル限定ですー。
実は親子でしたとか、兄弟でしたとか駄目ですよー」
街コンも兼ねているらしく、受付の商工会議所の人が、大きな声で受付を待っている人たちに言って、どっと笑いが起こる。
真湖たちのような、観光客の飛び入りも結構居た。
そういう人たちには、釣り道具も貸してくれるようだった。
あまり立派なものはないようだったが。
「はい。
じゃあ、こちらにお名前を。
カップルですかー?」
と受付のお兄さんのが言うと、
「はーい」
と二人で指でハートマークを作らされている。
「……あれは、やらなくてもいいんだよな?」
と雅喜が言う。
「強制じゃないみたいですよ。
でも、確かに、我々はカップルには見えないですよね……」
課長、沢田ではな、と思っていると、雅喜が、
「じゃあ、俺に真湖りんと呼べというのか、花田みたいに」
と言ってくる。
「そんな無茶な要求はしませんよ」
と言うと、雅喜は少し考え、
「じゃあ、真湖」
と言った。
どきりとしてしまう。
さすがにこんな綺麗な顔で、真正面から言われると……。
しかし、そんなときめきは長くは続かなかった。