課長の瞳で凍死します 〜Long Version〜




「課長っ。
 なにやってるんですかっ。

 早く餌つけてっ。
 風で波立ってるときがよく釣れるんでしょうっ?」

 はい、次っ、と叫ぶ真湖に、雅喜は、
「やってるよっ」
と叫び返しながらも、

「お前の方が釣ってないか!?
 っていうか、餌は自分でつけろっ」
と言ってくる。

「ビギナーズラックですよっ。
 餌、気持ち悪くて触れませんっ」
と叫び返す。

「釣った魚も外せないし、ほんとにお前は……」
と文句を言っているが、そう機嫌は悪くなかった。

 意外に真湖が数を稼いでいるからだろう。

 小物ばかりだが。

「お前、今度、一緒に船に乗るか?」
「はい?」

「お前は筋がいい」

「……初めて課長に褒められましたよ。
 仕事で褒められたことなどないのに」
と言ったとき、ちょうど、釣れ具合を見て歩いていた運営委員の人と目が合った。
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