運命の恋、なんて。
ちゃんとしたデート
駅前に着いて、裏通りへ入る。





男の人に呼ばれたことは、鮮明に覚えている。





だけど…ヤスくんの家がよくわからない。




同じような家が立ち並んでいてキョロキョロとしていると、後ろから背中を叩かれた。




「きゃっ!」




「ハハ、ビビりすぎ~」




後ろにいたのは、ヤスくんだった。





学生カバンを背負い、制服を着ている様子を見ると…学校帰りなのかも。




「びっくりした!ヤスくんだったんだ、学校の帰り?」




「そそ」




「そうなんだ…あたし、ヤスくんの家さがしてて…」




「八雲と待ち合わせ?俺がいない間になにしよーってんだ」




「ええっ!?そんなつもりは!ヤスくんいないなんて、聞いてないし!」




慌てまくるあたしを見て、ぶはっと吹き出してる。




「冗談だって、そんな慌てるか?いーよ、あいついつもそうだし。俺がいない間に自分の友達連れ込んで勝手に遊んでる」




そうなんだ…。




まるで、自分の家のようだよね。




それほどヤスくんと仲がいいってことなんだろうけど。




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