運命の恋、なんて。
学校から帰ってきたところだったけど、制服のまま家を飛び出した。



もう…懲り懲り。



どうしてここまで束縛されなきゃいけないんだろう。



あたしのため?



全て、お母さんのエゴのためだよね。



お兄ちゃんが有名企業に内定したとき、言わなくてもいい相手にまでわざわざ電話をして自慢していたのを思い出した。



子供の成し遂げたことを、あたかも自分の名誉のように他人に自慢したいだけ。



あたしのことなんて、これっぽっちも考えてない。



自転車に乗り、行く宛もなく走る。



結局は…いつものゲーセンにやってきていた。



八雲くんに連絡しても、心配かけるだけだよね。



それでも、ゲーセンに到着すると…八雲くんがそこにいた。




「あれー、胡桃ちゃん。今日約束してたっけ?」



「ううん…ちょっと、遊びたくなって…」



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