運命の恋、なんて。
「今日、どうしてヤスくんの家なの?久しぶりだから、デートしたかったな」



休みの日は用事があるっていうから、珍しく放課後に会うことになった。



あたしの方から、会いたいって言って無理に予定を空けてもらったようなものだから、無理を言うこともできなくて。



それでも、面と向かってなら言いやすい。



「ヤスんちだと、胡桃ちゃん帰りやすいだろ。だから」



「遅くなるの、心配してくれるんだね」



「胡桃ちゃんの親、怖いしな。送ったとき、たまに家から出てくるときあるけど、にらまれるし」



お母さん、八雲くんとの付き合いに好意的じゃないからね。



そういう態度をしないで欲しいんだけど、言っても無駄だった。



「ごめんね…」



「胡桃ちゃんを責めてるわけじゃないって」



あたしが俯いたタイミングで、顔を覗きこんでくる。



至近距離で目が合うと、そっと肩を抱かれる。



自然に唇が重なり、目を閉じた。



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