CURRENT
彼は座ったままだし、通路はふさいでいない。
このまま帰ろうと思えば帰れる。
だけど、何もなかったように月曜日から出来る?
今更、普通の上司と部下になれる?
彼が、沖田陽子みたいな子と付き合うのを見ていられる?
そのうち、結婚だってする。
それを、祝福出来る?
「おいで」
ちらっと彼を見れば、にっこり笑って両手を広げている。
たぶん彼は、全てお見通し。
だから、自信満々な表情で座っていられるんだ。
逃げ道があるなんて嘘。
最初から放してはもらえなかった。
彼がここに来た時から、私は捕らわれてしまったんだ。
私は、ゆっくり立ち上がる。
そして、彼の方を見て、玄関を見る。