CURRENT



「まぁ、俺のこと覚えているみたいだし?
確かめに来て良かったよ」



まさか、このためだけに部長を動かしたとでも言うのだろうか。

そんなこと、ありえるはずがない。



「先は長いし、これからよろしく頼むな」



去り際に、耳元で囁かれた。

私の言葉を何一つ聞くこともなく、彼は会議室から出て行った。

最後に、意地悪そうな笑みを残して。



いつから知っていたのだろう。

部長の話しだと、本社にいたはず。

その時にはもう、私の存在を知っていたのだろうか。


なぜ、ここに来たのだろう。

彼の口調では、私がいると知った上で来たみたいだった。


こんな再会ってあるのだろうか。

10年ぶりか。

あの時よりもイケメンになって、身長も高くなっている。




< 19 / 188 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop