E・N・M・A~えんま~
そう言われてから初めて、なるほど…と思った。
「しかも、『ありがとう』だなんてなおさら!」
などとさらに言うものだから気恥ずかしさに横を向く。
確かに昔の我ならば、千夏の母親だろうと感情のままに行動していただろうから。
「千夏を…失いたくない。もう…二度と!」
フローリングの板の目を見るともなしに見ると、下唇をギリッと噛み締めた。
鉄の味がして、血が出たのだと気が付いたが気にする余裕もなかった。
「行きましょう」
「あ?」
またもや意味のわからない事を言い出す千夏の母である守り人に、かなり変顔でぽかんとしている我の様子はもはや地界の帝王のそれではなかったに違いなかった。
「『天界』へ行くのよ!」
口の際で笑って、さらに続けて言った。
「閻魔…あなたなんかに大事な千夏を渡したくはないけど、千夏の泣き顔を見たくないって願う母の気持ちもあるの。
だから、『天界』で必ず閻魔、地界の帝王の名に懸けて千夏を取り返して来てちょうだい」