真っ白のラブレター

部活が終わって帰る時、穂風が何気なくグランドに目をやると、ネットの前で素振りをしているのは笹田だった。
周りには誰もいないので、部活の後に自主練しているらしかった。

穂風はその真剣な顔に引き寄せられるように、その場に足を止めた。

その時、後ろから歩いて来たのは、歩だった。

「あっ、歩」

「おす」

穂風は笹田を見ていたことを知られて、ばつが悪い。

「えっとね、まだ残ってる人がいるんだなって、見てただけなの」

「別に、俺に言い訳なんかいらない」

歩は相変わらずの無表情で、全く感情が見えない。

「そうだよね、確かに」

「私、初めてだから。告白なんかされるの、だから、ちゃんと考えて答えようと思って」

「おまえらしいな、そういうの」

「えっ?」

穂風が思わず、歩の顔を見ると、歩はすたすたと先に歩き始める。

「ねえ、待ってよ、あゆむ~」

穂風の声に、素振りをしていた笹田が振り返る。
その顔が少し曇った。
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