真っ白のラブレター
中谷がうちに来る。
穂風はどきどきしていた。
憧れの中谷とこうして、並んで歩いていることが信じられない。
しかも、愛犬を預かるだなんて。
こんな幸運があるだろうか。
ともするとにやけそうになる顔を、必死にひきしめていた。
すっかり舞い上がって、自分が中谷と何を話したのかさえ、覚えていない。
穂風の家に着くと、中谷が餌やトイレのことを説明して、何度も礼を言って帰って行った。
中谷のこういうところが好きだと、穂風は改めて思った。
誰からも愛されているのに、誰に対しても親切で嫌味がない。
俺はモテるという素振りは微塵も感じられない。
門の外まで中谷を見送りながら、角で振り返って手を振る中谷に、穂風は大きく手を振り返す。
置いていかれることをわかっているのか、スタンプが穂風の腕の中でもがいて、中谷を追いかけようとするのを優しくなだめる。
「よしよし、中谷君、行っちゃったね。3日間、よろしくね」
中谷はお土産を買ってくると言った。
中谷はいったいどんなものを買ってくるのだろう?
想像するだけで、楽しくなる。
スタンプ(切り株)という名の小犬を抱えて、穂風はにこにこしながら家に入った。