真っ白のラブレター
☆*。11 恋のキューピッド
「ねえ、天崎さん」
荷物を鞄に詰め込んでいた穂風が振り返ると、クラスメートの沢野佳耶が立っていた。
普段、あまり話したことがない沢野に話しかけられて、穂風は不思議そうな顔をした。
「あのね、ちょっとお願いがあるんだけど…」
「なに?」
「うん…」
沢野はもじもじして、言いにくそうにしている。
「どうかしたの?」
「天崎さんって、霜原君と親しいわよね」
「まあ、昔から知ってはいるけど…」
穂風は相手の意図が全くつかめず、ますます不審な表情になった。
「そうよね。それで、あつかましいんだけど…、これをね、霜原君に渡してもらいたいの」
そう言って、沢野はピンクの封筒を差し出した。
「これは…」
「自分でどうしても渡しづらくて」
「いいけど…」
「ほんとに?ありがとう」
まだ何か言いた気な穂風を残して、沢野はさっさと教室を出て行く。
封筒には、『霜原歩様』とかわいい文字が並んでいた。
これは間違いなく、ラブレターだよね。
穂風は胸の奥で、かすかな寂しさを感じた。