真っ白のラブレター
封筒を手にした穂風は、部室に鞄を置くと、グランドで練習しているテニス部を尋ねた。
あちこちで、威勢のいい掛け声があがる中、水道の前にコートを張っているテニス部に近づくと、歩の姿を探した。
ちょうど、後輩に素振りの指導をしているところだった。
近くの部員に歩を呼んでもらうと、穂風は封筒を手渡した。
「これ、沢野佳耶さんから言付かったから」
穂風は封筒を押し付けると、さっさと音楽室の方へ歩き始めた。
「おい、ちょっと待てよ」
「なに?」
穂風は不機嫌な顔で振り返った。
「これ、何だよ」
「見ればわかるでしょ。手紙なんじゃない?」
「そんなことはわかってるよ。何でおまえが、こんなもの持ってくるんだよ」
「言ったでしょ。さっき、彼女に頼まれたのよ。自分で渡しづらいんですって。私はちゃんと渡したからね」
「おい」
あっけにとられている歩を残して、穂風は急ぎ足で昇降口に向かった。
歩はめんどうくさそうに、封筒をポケットに押し込むと、部活動へ戻った。