真っ白のラブレター

「ちょっと、話がある」

歩はムッとして、下校中の穂風を呼び止めた。

「おまえ、沢野に何て言ったんだ」

「この間のこと?」

「そうだ。何か、よけいなこと言ったんじゃないのか」

「よけいなことなんか、言わないけど、どうかしたの?」

「返事を聞いて、ますます気に入ったって、言われたんだよ」

「へえ。歩もモテルね」

おどけた穂風は、歩があまりにも真剣な表情なので、笑顔が消えた。

「ふざけんな。手紙を読みもせずに、洗濯したような男のどこが気に入るって言うんだ」

「さあ。人の好みは、それぞれだから」

「おまえ、彼女に何て伝えたんだ?」

「んっ?」

穂風は自分のしたことの重大さを初めて感じていた。


「たいしたことじゃないよ」

穂風は口ごもる。


「正直に言えよ!」

歩は真っ赤になって怒っている。
歩のそんな激しい口調は初めて聞いた。

「ええと。今のところ、テニス以外に興味がないって…」

沈黙が重い。

「何だよ、それ。誰もそんなこと言ってないだろ」

歩のおさえた、けれども怒りがにじみ出る声音に穂風は首をすくめる。

「でも、本当のことでしょ。女の子に興味がないっていうのは。それに、そうでも言わないと…」

穂風は慌てた。
こんなに歩が怒るとは思っていなかったのだ。
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