真っ白のラブレター
「おれは、自分の気持ちを自分で伝えられないようなやつの言うことなんか、信じられない」
その一言は、穂風にとってずしんと重たかった。
「歩は、女の子の気持ち、ちっともわかってない」
穂風はうつむいたまま、呟くように言った。
「好きだから言えないのよ」
「嫌いって言われるのが恐くて」
穂風はくっと顔を上げて、歩を見る。
「おまえだって、男の気持ち、全くわかってないじゃないか」
歩はそう言い捨てると、一人で歩き出した。
穂風は、歩がそこまで怒る理由がわからなかった。
テニス以外のどんなことにも、夢中になったことがない歩が、なぜこんなことにむきになるのか理解できなかった。
自分に対して、歩があそこまで感情をあらわにしたことは未だかつてなかった。
歩はと言えば、あそこまできつく言うつもりは毛頭なかったのだ。
しかし、穂風を前に、気持ちを押さえることができなかった。
自分でも信じられないほど、腹が立ち、黙っていられなかったのだ。