悪魔な彼が愛を囁くとき

「……ほら、泣き腫らした理由だよ」

あっ…そう言うこと。

「吹っ切れてませんけど、もう泣き腫らしたりしません」

まだ、その話を振ってくるのかとツンケンした態度で答える私。

「……仕事に影響するようなら帰らせようかと思ってたが、それだけ言えるなら大丈夫そうだな⁈男なんてごまんといるんだ。いつまでもウジウジしてるなよ」

ウジウジなんてしてないのに、言い方がムカつく。

「……すみませんでした。夜の営業からはひきづりませんからご心配なく」

「可愛げないの」

可愛げなくてすみませんね。

あーイライラする。

そこに

「こんちは〜タカタでーす」

業者さんが納品しに来た。

「お疲れ様です。確認しますね」

店長を無視してタカタさんと会話を始める私。

「桐谷さん、今日はいつもとメイク違いますね」

「えっ、わかりました?」

「えぇ…チークなんていつも塗ってないですよね」

「……今日は気分で」

店長にメイクされたなんて言えないから笑って誤魔化した。

「似合いますよ。大人ぽくて素敵です」

「……ありがとうございます」

「今日はデートですか?」

「残念ながらデートする相手いないんですよ」
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