悪魔な彼が愛を囁くとき
「フリーですか?それなら今度食事にでも行きませんか?」
ニコッと笑顔を向けられるから
「……都合があえばご一緒させてください」
「是非…都合つけますから桐谷さんのご都合の良い時に」
「……はい」
お互いの忙しさをわかっていての社交辞令だろうけど、男の人に誘われればイヤな気はしないから笑顔で答えた。
「検品終わりました」
「店長、週末の発注明日までファクスで連絡頂ければ金曜にお持ちします」
笑顔で営業トークを店長と始めるタカタさんに対して店長は珍しく無愛想。
「わかりました」
いつもなら男女関係なく愛想のいい男なのに……
「じゃ、失礼します」
忙しく、出て行くタカタさん。
「お疲れ様でした」
笑顔で送る私の横で無言を通す店長。
ちょっと、あなた店長でしょう⁈
お疲れ様でしたぐらい言いなさいよ。
タカタさんがいなくなった瞬間、口を開けた男。
「どうして他の男には愛想がいいのに、俺にはいつも敵対心むき出しなんだ?」
なんなんだ?
態度が他のスタッフと私とでは違うのはあなたでしょうが……
「気のせいじゃないですか?」
えこひいきするあんたが嫌いなんて言えないでしょう。