悪魔な彼が愛を囁くとき

うちのお店はランチの時間帯

シェフのきまぐれメニューとしてオムライスランチとパスタランチの他に単品でも料理を提供している。

普段ならベテランの綾乃さんがいるポジションなのだ。

「わたしがですか?」

「あぁ……その顔でホールに出られたらお客が驚く。俺がいじめたと思われるのはイヤだ」

あっ、そ。

酷い顔ですみませんね。

心の底で毒吐く。

ランチ時間は、慣れないポジションにあくせく動き回り振られたことも忘れていた。

ランチ時間も落ちついた頃

ふっ〜とひと息吐く。

「凛ちゃんお疲れ様」

『綾乃さん…お疲れ様でした。私にはまだこのポジション不釣り合いです」

半泣きの私に

「店長の優しさなんじゃないの⁈慣れないポジションで忙しくしていればその時は嫌な事忘れているでしょう⁈」

確かに……考える暇もなかった。

ホールに出てたら嫌な事を思い出して慣れに甘えてミスしていたかもしれない。

「優しさですか⁈でも…店長、私に『その顔は俺がいじめたようだからイヤだ』みたいな事言ったんですよ」

ん?
ちょっと違ったかもしれないけど似たような事を言われた。

たいして意味は変わらないはず。
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