君の消えた青空にも、いつかきっと銀の雨
「そういえば、亜里沙の家にお邪魔するのって久しぶりな気がするー」
「俺は初めてな気がするー」
「当たり前でしょ。これまで一度も男なんか家に呼んだことないんだから」
3人でカラカラ笑いながら、賑やかな国道沿いの通りを歩いていく。
途中でコンビニに寄って、お菓子と飲み物をいろいろと買い込んだ。
凱斗がこれ見よがしに、カリカリ小梅と柿ピーと味付き茎ワカメを買い物カゴにポンポン放り込むのを見て、亜里沙がおかしそうに笑う。
亜里沙、きっとあたしたちに気を遣ってくれているんだ。
少しでもあたしたちの仲がうまくいくようにって、誘ってくれたんだろうな。
その気持ちが嬉しい。ありがとう亜里沙。
「なんか、いまにも雨が降りそうだね」
見上げる空は灰色の雲がどんよりと広がり、この時間帯のわりには周囲も薄暗い。
「降水確率60%だもんな。こりゃ確実に降るな」
「降りだす前に行こう」
あたしたちは急ぎ足で横断歩道を渡り、そのまま脇道へ入っていった。
ここまでくれば亜里沙の家は、すぐそこだ。
「ここがあたしの家」
そう言って亜里沙が指さす家は、近隣でも一番の大きな邸宅だ。