君の消えた青空にも、いつかきっと銀の雨

「はあ……」
 気分は回復しないまま、お昼の時間。

 今日何度目かの溜め息をつくあたしを見ながら、亜里沙が首を傾げる。

「奏、今日は朝から溜め息ばっかりだね。どうしたの?」

「ねえ亜里沙、なんで人って意識しないようにすると、余計に意識しちゃうのかな?」

「意識しないように意識してるわけだから、それって結局、意識してるからよ」

「分かったような、分かんないような……」

 お弁当を亜里沙と向かい合って食べながら、そんな会話を交わしてまた溜め息をつく。

 亜里沙に全部打ち明けて慰めてもらおうかな?

 ひたすら笑い飛ばされて、逆に落ちこむ可能性も高いけど。なんせ亜里沙は遠慮のない性格だから。

 親友だから話せることもあるし、親友だからこそ話しづらいことだってある。

 高校生にもなると、小さいころと違って人間関係も単純じゃなくなるもんだ。

 でも亜里沙の笑い声はいつも梅雨晴れの空みたいに、スコーンとサッパリしてて気持ちいい。

 その笑顔のおかげで、逆にふっきれて立ち直れる場合も多いんだけどね。

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