逆境シンデレラ~御曹司の強引な求愛~
(なんて言ったらいいのか、わからない。ただあの時は、私のために三角巾を取りに行ってくれた基の気持ちが、少し、嬉しかった……。そう、だから、考えておくと……言ったんだ。嘘をつくつもりはなかったけど、基からしたら、やっぱり私は人の気持ちを弄ぶ女にしか、見えないのかもしれない……。)
沙耶の脳裏に基とのダンスが蘇る。
呼吸を合わせ、見つめ合うことの喜びが、忘れられない。
そして同時に、彼と過ごして、もし万が一またあんな気持ちになったらと、考えるのがたまらなく怖かった。
最初から、そして今だってマイナス感情しかないのに、なぜか気にかかる、不二基という男が、沙耶は恐ろしかったのだ。
(だけどいつまでものらりくらりとかわすのは、誠実じゃない。せめて今自分がどう考えているかだけでも話さなければ……。)
「あの、」
沙耶は勇気を振り絞って、基と向かい合う。すると、基が思ってもみない言葉を口にした。