逆境シンデレラ~御曹司の強引な求愛~
「美鶴はよくて、俺はダメなのか」
「……え?」
みつる?
「いくらだ」
「な、に?」
一瞬、何を言われたのかわからず、沙耶は目を丸くする。
「美鶴にいくら貰ったんだ。どうせ金だろ。そしてこんな窓拭きなんてくだらない仕事を続けるのは、俺を馬鹿にするためなんだろ」
基の激しい嫉妬から出た、振り向いてくれない女を傷つけるためだけの、悪意に満ちた言葉が、沙耶を凍りつかせる。
そして沙耶もまた、彼の発した言葉の意味を知り、目の前が真っ赤に染まったような気がした。
(この人も、一緒だ。結局自分の中で勝手に私を美化して、貶して……。)
喉がぎゅうぎゅうと締まる。息ができなくなる。爆発しそうな思いを抱えたまま、沙耶は右手を振り上げ、基の頰を力一杯張り飛ばしていた。