逆境シンデレラ~御曹司の強引な求愛~
パァン!
常務室に響く激しい破裂音に、一番驚いたのは沙耶だった。
だが体の震えが止まらない。
沙耶は自分の手首をつかみ、口元に引き寄せながら、泣きそうになるのをこらえて基を見上げた。
「あなたは本当にどうしようもない子供ね。私を傷つけたいあまりに、友人の喜多島さんの名誉まで、傷つけるのね」
「……っ」
沙耶の言葉に、サッと基の顔に影が落ちる。
「喜多島さんの名誉のために、あなたが今口にしたことは何一つ正しくないと言っておきます」
そして、沙耶の澄んだ瞳に、うっすらと涙の膜が張る。
「だけど、あなたは十分私を傷つけたわ。大成功よ。気が済んだ?」
その膜はみるみる分厚くなって、目の縁にたまり、大きな粒になって、ポロリ、と頰をこぼれ落ちた。