逆境シンデレラ~御曹司の強引な求愛~

 その一瞬。基はいまだかつて体験したことがない、嵐のような後悔の中に放り込まれていた。

 過去、こんな風に女性を泣かせたことなど一度もなかった。
 軽薄だと、女好きだとそしられても、基はスマートに女性に接してきた。


 恋愛は楽しむもの。

 甘美な誘い言葉に意味深な視線。
 気のきいた会話の中に潜む、嘘。

 お互い手探りをしながら、それらすべてを合意の上で、駆け引きとして味わう。

 相手にはただ刺激だけあればいい。ただ一時の夢を見せてくれればそれでいい。

 ただ楽しければ、それで良かった。それが基の恋だった。


 だが、目の前のこの光景はなんなのだ。

 なんだって人並み以上にこなしてきたはずなのに、女一人笑わせるどころか、むしろひどく傷つけている。



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