逆境シンデレラ~御曹司の強引な求愛~

「志倉沙耶(しくらさや)……」


 低いが、よく通る声だった。

 名を読み上げられて、どきりとするが、沙耶は冷や汗が止まらない。

 大失態だ。

 せっかくいい職場で働けていると思ったのに……。

(私が悪いのだけど……泣きそう。)

 凹みまくる沙耶である。

 だが常務の次の言葉は沙耶の想像とは違っていた。


「水を持ってきてくれないか」
「え?」


 顔を上げると、常務と目があう。まるで狼のような、美しいグレーの瞳がまっすぐに沙耶を見つめていた。


「薬を飲みたい。グラスはそこにある」
「ーーかしこまりました」


< 11 / 322 >

この作品をシェア

pagetop