逆境シンデレラ~御曹司の強引な求愛~
「志倉沙耶(しくらさや)……」
低いが、よく通る声だった。
名を読み上げられて、どきりとするが、沙耶は冷や汗が止まらない。
大失態だ。
せっかくいい職場で働けていると思ったのに……。
(私が悪いのだけど……泣きそう。)
凹みまくる沙耶である。
だが常務の次の言葉は沙耶の想像とは違っていた。
「水を持ってきてくれないか」
「え?」
顔を上げると、常務と目があう。まるで狼のような、美しいグレーの瞳がまっすぐに沙耶を見つめていた。
「薬を飲みたい。グラスはそこにある」
「ーーかしこまりました」