逆境シンデレラ~御曹司の強引な求愛~

 沙耶は頷いて、ゴム手袋を外してカートに入れる。そして反対の壁際に置いてあるキャビネットへと向かった。


 そのキャビネットがまた美しかった。おそらく英国製のアンティークなのだろう。まるでショーケースだ。

 沙耶は一番上のグラスを手に取り(バカラだった)、部屋の隅に置いてあるウォーターサーバーからお湯と水を半分ずつ入れて、常務のデスクに戻った。


 常務はスーツの上着を脱いで、L字型のエグゼクティブデスクの上に放り投げると、長い足を組み、チェアに身を投げ出していた。


 そして苦悩に満ちた顔で、頬杖をつき、こめかみの辺りを指で押さえている。

 今更気づいたが、辛そうな顔まで美しく見える、一級品のような男だ。

(なんてきれいな人だろう……まるで彫刻みたい。でも辛そう。大丈夫かな。)

 そんなことを思いながら、沙耶はグラスをデスクの上に置いた。



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