逆境シンデレラ~御曹司の強引な求愛~

 けれど時は前に進み、流れ去るだけで。

 自分の後悔の苦しみなど、何もならないことに、基は心底堪えていた。


 沙耶の涙を受け止めたい。
 ひざまずいて許しを乞いたい。

 だが体が思うように動かない。


 基も必死で、その場に崩れ落ちそうな沙耶の肩を支えようとするが、その瞬間、
「さわら、ないでっ……!」
 沙耶は悲鳴をあげて、基に体当たりするようにして、ドアに向かって走り出した。


「失礼しま……うわっ!?」


 そしてたまたま常務室に入ってくる神尾と、出て行こうとする沙耶が正面からぶつかったが、沙耶は少しよろめいただけで、やはり何も言わず、そのまま常務室を飛び出していく。


「志倉さん?」


 そんな沙耶を驚いた様子で見送りながら、神尾は今度は常務室の中に目をやった。


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