逆境シンデレラ~御曹司の強引な求愛~
「沙耶、こちらがこの乗馬倶楽部のオーナーの篠崎さん。俺の馬の先生でもある」
「篠崎です。はじめまして」
篠崎は、年の頃は七十過ぎだろうか。恰幅の良い、いかにも紳士という雰囲気である。
「志倉沙耶と申します。はじめまして」
差し出された手を握り返すと、篠崎はニヤリと笑って基を見上げた。
「坊ちゃんが女性を連れてきたのは初めてだね」
「そういうことは言わなくていいですから」
「はいはい」
だが篠崎はそんな基が本当に珍しいようで、ニコニコと沙耶を見て目を細めている。完全に親戚のおじさんの顔だ。
「そしてこの子はレオだ」
基は内心苦笑しながら、篠崎から手綱を受け取り、レオの鼻面を撫でる。
「クォーターホースで体高百六十センチ、性格は温和で、反動が少なく乗りやすい」
「レオ……?」
「首のあたりを撫でてやって」
「うん」