逆境シンデレラ~御曹司の強引な求愛~

 動物は好きだが、馬をこんな至近距離で見るのは初めてだった。
 おそるおそる基の隣に立って言われた通り、首を撫でる。


「あったかい……」


 がっしりとした筋肉に、黒いたてがみと尻尾が美しい。
 鞍をつけていないので、自然な美しさがよくわかる。ため息しか出ない。

 温和というのは本当らしく、沙耶が触っても、機嫌よくブルルといななき尾を揺らしてきる。


「この子に乗るの?」
「ああ。トレッキングに行く」
「……トレッキング?」
「そう」
「えっ、あの、私、乗れないわよ?」
「俺が乗れるから大丈夫だ」


 基はにっこりと笑って、篠原が差し出したリュックを背負い、沙耶の手を取った。



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