逆境シンデレラ~御曹司の強引な求愛~

(なんてきれいなんだろう……。まるで絵本の中みたい。)


 沙耶の脳裏に、幼い頃母に読んでもらった絵本の絵が自然と浮かんだ。

(きっと七人の小人の家があっても驚かない……。)


「沙耶、見えるか。正面に海だ」


 基が沙耶の耳元でささやくので、前を向くと、
「えっ……あっ、本当!」
林を抜けた目の前には三浦海岸が広がった。

 海岸の一部は、乗馬倶楽部の敷地内なので、馬で駆けることができるのだ。


「少しだけ走らせよう」


 基が手綱を緩め、レオの腹を軽く蹴ると、レオは待ってましたと言わんばかりに走り始める。


「ひやっ!」


 沙耶は一瞬悲鳴を上げかけたが、レオを驚かせてはいけないと唇をかみしめる。

 だが風を切って走るうちに、そんな恐怖も吹き飛んだ。



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