逆境シンデレラ~御曹司の強引な求愛~
「いただきます」
手を合わせてから、一口お味噌汁を飲むと、あおさのいい香りが口の中いっぱいに広がる。
「ああ、美味しいです。こんなにちゃんとしたお味噌汁をいただくのは久しぶりです」
「あら、嬉しい。普段は一人だから、そういってくれる人もいなくって」
夫人の言葉に嘘はなさそうだ。
ニコニコしながら、まるで客人のように沙耶の世話を焼くのだった。
(けっきょく筍ご飯をお代わりしてしまった……。)
沙耶はお腹を撫でながら、ふう、とため息をつく。
しかも残りは全部おむすびにしてもらう始末である。
「ご好意に甘えてしまって、申し訳ありません」
気を使ったわけでもなんでもなく、食事が本当に美味しかったからなのだが、さすがに図々しい気がしてくる。