逆境シンデレラ~御曹司の強引な求愛~

 驚きはしたが、出会って五十年以上、しかも去年亡くなったばかりのご主人を、初めて恋を知った少女のように語る夫人は、やはり沙耶の目には好ましく映る。


「あんな風にずっと思える人に出会えるなんて、すごいですよね」
「まぁ、孫の僕たちは、耳にタコが出来るレベルで聞かされてるからね。おじい様とおばあ様のラブロマンス」


 美鶴は肩をすくめ、それから一度目を伏せる。


「祖父は明治の元勲だったご先祖様が創設した大学の学長だったんだ。子供達はみんな政治に関わってるし、祖父が亡くなった後は、名前を利用されるのが嫌で、世間的には旧姓の藤倉を名乗ってる。ちなみに俺が喜多島姓なのは、母が喜多島の従兄弟と結婚したからなんだけどね……って、あーもう、ものすごくどうでもいい話ばかりしてるな、僕は。まぁ、こうやってまた会えるなんて思ってなかったから、緊張してるんだけどね……」




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