逆境シンデレラ~御曹司の強引な求愛~

 饒舌なのは照れ隠しということらしい。


「喜多島さん……」


 名刺を神尾経由で返してもらって、日が経っている。
 確かにお互いこんな形で再会するとは、微塵も思ってもいなかった。
 世間は狭いとよく言われるが、こういう偶然にはただ驚くばかりだ。


 そしてタクシーが沙耶のアパートのすぐ前に停車する。


「では、失礼します」


 一礼して降りようとした瞬間、
「待って、僕も降りるから」
と、喜多島が慌ただしくタクシーの支払いをして降りてくきた。

 そして熱っぽい瞳で、沙耶を見つめた。


「偶然にしたくないんだ」



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