逆境シンデレラ~御曹司の強引な求愛~
美鶴は、真摯な表情で沙耶を見つめている。
端正な、本当に王子様のような甘やかな雰囲気を持つ美鶴の頰が、かすかに赤い。
その瞬間。
沙耶の心は激しく揺れた。
これは本気なのだと気づいて、沙耶の胸に、動揺と、混乱と、そしてぽっと火が灯るような優しい温もりが生まれた。
「祖母を見習ってというわけではないけど……偶然で終わらせたくない」
子供の世界でも、親の関係で付き合いを考えなさいと言われるような世の中である。
沙耶を幸せになることから遠ざけてきた家族の問題は、同時に沙耶の最大のコンプレックスでもあった。
恋愛の延長にある先は、祝福ではない。自分は誰も幸せにできない。
恋愛は当人同士の問題など、普通の家庭だから言えるのだ。
一生一緒にいるなど、何の問題もない家庭にだけ許された贅沢なのだ。