逆境シンデレラ~御曹司の強引な求愛~

「小学生……雨宿り?」


 沙耶の思い出の王子様であるはずの美鶴は、あっけに取られたようだ。


 その瞬間、いけないことを聞いてしまった気がした。
 自分の手で、心の一番無防備なところを、刃物で突いたような気がした。

 やりどころのない羞恥で頰が染まる。


「……ごめんなさい、忘れて」


 沙耶は泣きたくなり、慌てて後ずさろうとしたが、足首に痛みが走り、ふらりと倒れそうになった。


「沙耶さん!」


 美鶴が叫ぶ。そして次の刹那、手を伸ばした美鶴の腕の中に、そのまま引き寄せられ、きつく抱きしめられていた。


< 211 / 322 >

この作品をシェア

pagetop