逆境シンデレラ~御曹司の強引な求愛~

 美鶴はふんわりと王子様のように甘く微笑み、何のためらいもなく、沙耶の頰にキスをする。


「なっ……えっ!?」


 頰に触れた美鶴の柔らかい唇の感触は、夢でも幻でもなかった。


「おやすみ」
「……おやすみ、なさい……」


 表通りに向かって歩いていく美鶴の背中を見送りながら、沙耶は頰に手のひらを乗せる。


 王子様のキスは、優しかった。

 そう、美鶴は優しい。
 だけど私はズルい。


(彼が私の初恋の王子様かもしれない、そうだったらって……そうしたらこれは運命だから、彼の手を取ってもいいんだって、言い訳しようとした……。私、最低だ。)


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